知らないと損をする!?医療費負担を軽減する高額療養費制度や付加給付とは?

コラム

2022年4月より、不妊治療が保険適用になりました。子どもは欲しいけど、不妊治療の費用の大きさに一歩を踏み出せずにいた夫婦にとっては、朗報でした。

僕たち夫婦が、最初から体外受精という治療を選択したのも、保険適用による医療費負担の軽減があったことも理由の1つです。

ただ、医療費負担の軽減といっても、実際にどの程度軽減されるか分からず、不安に思う方もいると思います。

この記事では、医療費負担を軽減する高額療養費制度や付加給付制度について、制度の対象となる方や軽減額、制度利用について気を付けることを説明します。

高額療養費制度と付加給付制度とは

健康保険というと、医療費の3割自己負担を思い浮かべる方が多いと思います。

医療費が1万円の場合は、自己負担が3千円(1万円×3割)となります。とてもありがたい制度ですよね。

ただ、この3割負担ですが、医療費が小さいと家計に与える影響は小さいですが、医療費が大きくなると話しは変わってきます。

医療費が100万円の場合を考えてください。この場合、自己負担額は30万円(100万円×3割)となり、3割負担といっても、家計にとって大きな負担となります。

そこで医療費が高額となった場合に、負担を軽減してくれるのが、高額療養費制度と付加給付制度です。

この制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が後日支給されるというものであり、家計の負担を抑えた上で医療を受けることが可能となります。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。

高額療養費制度と付加給付制度の違い

高額療養費制度・付加給付制度について、制度の対象となる方、特徴等について説明します。

制度の対象となる方特徴・支給額
高額療養費制度健康保険に加入の方全員支給額は、年収・年齢で変動するが、どの健康保険組合でも同じ金額が支給される。
支給額の詳細は厚生同省のHPを参照
付加給付制度加入する健康組合によっては制度がない場合もある。
※国民健康保険、協会けんぽはなし
高額療養費制度の支給額に加えて、加入する保険組合が独自定めた支給額が追加で給付される。支給額は保険組合によって異なる。

高額療養費制度は、健康保険の加入者であれば、どなたでも利用できる制度です。支給額についても、年収や年齢で変動はするものの、どの健康保険組合でも同じ金額が支給されます。

付加給付制度は、高額療養費制度で支給された金額に加えて、加入する健康組合が独自に定めた支給額が追加で給付されます。自己負担額が更に減る制度ですので、家計にとっては嬉しいです。

ただし、この付加給付制度は、加入する健康保険組合によっては制度自体がない場合もありますので、ご自身の加入する健康保険組合の規約やHPで確認してください。

自己負担額の事例・比較

高額療養費制度のみのケースと付加給付制度まであるケースでの自己負担額を比べてみます。

  • ケース1 高額療養費制度のみ 年収 約330万~約770万 医療費100万円の場合

実際の自己負担額は、87,430円となります。※ なお金額は、概算の数値となりますので正しい数字は厚生労働省のHPまたは各健康保険のHPで確認ください。

  • ケース2 高額療養費制度と付加給付制度(負担上限25,000円)あり 医療費100万円の場合

実際の自己負担額は、25,000円となります。

両ケースとも医療費は100万、窓口支払いは30万でしたが、ケース2は、ケース1に比べて、約62,000円も自己負担額が少ないことが分かります。

高額の治療を受ける場合、付加給付制度の有無によって家計への負担が大きく変わるので、加入する健康保険に付加給付制度の有無は必ず確認しましょう。

高額療養費制度・付加給付制度の利用について気を付けること

高額療養費制度・付加給付制度の利用に際して、知っておくべきこと、気を付けることをお伝えします。

治療が月をまたぐと自己負担額が変わること

高額療養費制度・付加給付制度は、1日から月末までにかかった費用が上限額を超えた場合に適用されるため、月をまたいだ治療となると自己負担額・給付額が変わります。

加給付制度(負担上限25,000円)の方の場合で説明します。

医療費・窓口負担自己負担額・給付額
①同月内の医療費N月 医療費20万円 窓口負担 6万円自己負担額 2.5万
給付額 3.5万円
②月をまたぐ医療費N月 医療費10万円 窓口負担 3万円 N+1月 医療費10万円 窓口負担 3万円自己負担額 5万円
給付額 1万円

上記①②はどちらも医療費としては20万、窓口負担は6万円の治療ですが、自己負担額をみると、①は2.5万円、月をまたいだ②では5万円となります。

給付金支給の申請を忘れずに

健康保険組合によっては、高額療養費制度や付加給付制度による給付を受けるためには、健康保険組合への申請が必要となる場合があります。その場合申請しないと1円も給付されませんので、加入する健康保険組合に問い合わせをして、申請の必要有無を確認ください。

先進利用や入院時の差額ベッド代や食費は給付の対象外

高額療養費制度・付加給付制度の給付対象となるのは、保険適用される診療に対し、患者が支払った自己負担額のみです。そのため、入院時の差額ベット代、食費、先進医療費等は、高額治療制度・付加給付制度の対象とはならず、自己負担となります。

特に不妊治療では、先進医療を受けることもあるので、入院時の差額ベット代、食費等も軽減する目的とあわせて、先進医療特約をつけた医療保険に加入することをお勧めします。

年齢にもよりますが、2,000円~5,000円程度/月で必要な保障を受けることができます。

また、治療開始後の保険加入は様々なペナルティがあるので、保険加入は不妊治療開始前に実施してください。

確定申告による医療費控除を忘れずに

医療費の自己負担が年間10万円を超えた場合、医療費控除が申請可能で、税金が返ってくる場合もあります。

医療費控除対象となるのは、入院時の食事代、治療の交通費、先進医療費だけでなく、配偶者の医療費も合算もできますので、医療費控除対象の金額が10万円を大きく超える場合は確定申告をお勧めします。

詳細については、国税庁のHPで確認ください!

国税庁のHPはこちら

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